「痛風」という病名は良く耳にするものの、
- 風が吹いてもヤバい位、足が痛くなるんでしょ?
- プリン体とか、美味しいモノばかり食べてるとなる病気
- 痛風になるとビール飲めなくなるらしい
くらいの知識しか持たない方が大半で、痛風やその根底にある「高尿酸血症」について、正しく理解している人は少ないでしょう。
私も、自分が経験するまでは、上記同様一般に知られる間違った知識で痛風のことを認識していました。
ですが、いざ自分が痛風を経験し、様々な情報を調べていくと、世間一般で知られる痛風やその治療の多くは間違った認識ばかりである事に気付かされます。
本記事では、広く誤解されている痛風や高尿酸血症が、正しくはどんな病気なのかを解説していきます。
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目次
痛風発作の正体は、高尿酸血症により起こる炎症
痛風=足の付け根などが急激に痛くなる病気
と理解している方が多くいますが、これは「高尿酸血症」により起きる発作の1つとなります。
本サイトをご覧の方であれば、血液検査や人間ドックで「尿酸値が高い」と指摘される事があるのではないでしょうか。
血液中に含まれる尿酸が、平常値よりも高い状態を指して「尿酸値が高い」と診断されます。
※ 尿酸値=尿の酸性度ではなく、血中に含まれる尿酸の度合いです
この尿酸値が基準値である7.0を越えた時に、尿酸値が高い状態=「高尿酸血症」と診断するのです。
痛風という病気は、欧米では昔から見られていた病気ですが、日本で広まりだしたのは明治時代以降と言われています。
また当時、痛風にかかる患者の多くが、欧米式の食事を頻繁に採っている富裕層にばかり見られたことから
「痛風 = 贅沢病」といった、間違った認識が生まれ、未だにそのイメージを引きずっている方が多くいます。
ですが、1970年代の高度成長期を境に、痛風患者数は増えていき、現在は日本全国で100万人以上が痛風による通院経験があるとされています。
この数値の推移からも分かる通り、痛風(正確には高尿酸血症)は贅沢病などではなく、欧米式の食事が増えたことで、誰でも成り得る「生活習慣病」の1つでもあります。
また、痛風による通院経験がある方というのは「痛風発作を経験」した事によって通院を行う方のみが対象であって、尿酸値が高い状態にある予備軍の数は、その10倍(1000万人)とも言われています。
痛風の根底には必ず「高尿酸血症」という基礎疾患があり、これを放置することで発症するのが痛風発作です。
通院経験は無いものの、高尿酸血症(尿酸値が基準値よりも高い状態)であれば、正しい知識を持ち、治療を始めない限り、痛風発作はいつ発症しても不思議では無い病気なのです。
高尿酸血症ってどんな病気? 自覚症状はあるの?
高尿酸血症とは、前述した通り血液中の尿酸値が基準値を超えている状態を指します。
ですが、高尿酸血症自体には自覚症状が無く、健康診断や人間ドックで尿酸値の高さを指摘されない限り、気付く事はありません。
尿酸値が高い事に気付いたとしても、痛風発作を起こさない限り、これといった症状が出ない為、放置される方が大半となります。
(1度でも痛風発作を経験すれば、否が応でも気を遣うようになるんですけどね…)
尿酸値が7.0を越えることで、高尿酸血症と診断されます。
詳しくは「高尿酸血症の原因 ⇒」で詳しく解説しますが、自覚症状の無い病気だからこそ、早い段階で正しい知識を身につけ、生活改善を行うこと。
これが、痛風に対する最大の予防策となります。
痛風発作が起きる仕組み
ある日、なんの前触れも無く、足の親指などに激痛が走る病気、それが痛風です。
ですが、痛風発作の前提には「高尿酸血症」が必ずあり、これを放置した結果が痛風発作となります。
では、高尿酸血症がどうなることによって、痛風発作が引き起こされるのでしょうか。
血液中の尿酸値が7.0mg/dLを越えている状態を、高尿酸血症と診断します。
高尿酸血症自体には自覚症状が無いのですが、この状態になると、健康状態なら尿として排出されるはずの尿酸が排出しきれず、体内に残った尿酸が結晶化し、関節などに溜っていきます。
これら結晶化した尿酸が、関節に溜っている分には問題がないのですが、結晶が関節から剥がれ落ちると、血液中の白血球が結晶を「異物」と判断し、排除を行おうとします。
この白血球が結晶化した尿酸を攻撃する事により起こる炎症が「痛風発作」なのです。
ですが、人間の体内には尿酸を分解する酵素が無い為、白血球がいくら攻撃しても尿酸結晶を迎撃することは出来ず自滅してしまいます。
白血球が自滅するまでに掛かる時間が、およそ24時間となるのですが、痛風発作のピークが発症から24時間と言われるのも、この為となります。
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痛風発作を起こしやすい部位と理由
痛風発作=足の親指といったイメージをもたれがちですが、尿酸結晶は体のどこにでも溜る可能性があります。
ただ、その中でも「関節」に溜る傾向が強く、また
- 体温が低い場所
- 酸性度が強い箇所
- 良く動かす部分
- 負荷が掛かりやすい箇所
これらに該当する部分に尿酸結晶が溜りやすいとされています。
結果、上記全てに該当する「足の親指関節」が、もっとも痛風を発症しやすい部位とされています。
ですが、足の親指だけで無く
- その他、足指の付け根関節
- かかとやくるぶし
- アキレス腱周辺
- 膝の関節
などでも、尿酸が結晶化し、痛風発作を引き起こすケースはあります。
また、痛風発作の90%は下半身に発症すると言われていますが、
- 手首や手の指
- 肘や肩
- 耳たぶ
などで尿酸が結晶化するケースや、結晶がコブ上の塊(痛風結節と呼ばれます)を作る事もあります。
痛風発作が起きやすい原因、シチュエーション
突発的に痛みが走る痛風発作ですが、発作が起きやすい条件、共通点も見受けられます。
まず痛風発作を経験する方の大多数が、
「深夜に違和感を感じ、朝、目覚めと共に激痛を感じる」
と述べるように、痛風発作の多くは、深夜から早朝に掛けての就寝中に発症します。
その理由についてですが、睡眠中は副交感神経が優位になるため、血圧が下がり血流が悪くなること、体温が下がる事から、痛風発作の多くは就寝中に発症すると言われています。
その他、発症の原因として挙げられるのが、急激な運動です。
筋トレなどの激しい無酸素運動を行うと尿酸値が急激に上昇しやすく、発作のきっかけになるとも言われています。
普段、運動をしない方が急に長距離歩いたり、履き慣れていない靴を履いて歩くなど、関節に負担が掛かることでも発作のきっかけになる事があります。
同じく発作の原因に挙げられるのが、食事です。
急激な過食やアルコール摂取、ストレスによるドカ食い、タンパク質やプリン体の過剰摂取なども、痛風発作を誘発しやすい原因になります。
痛風発作を発症する人の中で、最も多い原因と言われるのがストレスです。
慢性の睡眠不足や疲れ、深夜残業や人間関係のトラブルなど、強いストレスでも尿酸値は上昇しやすく、心身の疲労が痛風発作を引き起こす例は数多くあります。
また、夏場などの汗を掻きやすい時期には、体内の水分量が減少することによって、血液や尿内の尿酸濃度が高まることでも、痛風発作は引き起こしやすくなります。
その一方で、尿酸値の急激な下降も痛風発作を起こす原因の1つです。
痛風治療時を始める際、病院では尿酸値の降下薬が投与されるのですが、これによって急激に尿酸値が下がると、痛風発作を引き起こすことがあります。
その為、お医者さんで処方される薬は、最初は少量から投与を始め、徐々に量を増やし、治療を行っていく必要がありますので、薬は必ずお医者さんの指定する量を守って飲みましょう。