生活習慣病を始めとする、様々な病気の温床となっている「メタボリックシンドローム」。
近年では、このメタボリックシンドロームと高尿酸血症との間にも、関連性が深いことが明かされてきました。
尿酸値の上昇とメタボとの間に、どんな因果関係があるのか見ていきましょう。
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目次
メタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常症のうち、いずれか2つに該当することで、メタボリックシンドロームと診断されます。
メタボリックシンドロームに該当する各症状の判断基準値は、以下の通りとなります。
メタボリックシンドロームと判断される、内臓脂肪型肥満の基準値
おへそ部分の腹囲を測定し、
・男性・・85㎝
・女性・・90㎝
以上となると、内臓脂肪型肥満である可能性が高いものとなります。
メタボリックシンドロームと判断される、血糖値の基準値
空腹時に採血を行い、同血糖値が110mg/dL以上の数値を示す
メタボリックシンドロームと判断される、脂質異常症の基準値
血液検査の結果で、
・中性脂肪が150mg/dL以上
・HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満
上記の一方、もしくは両方を満たした場合
メタボリックシンドロームと判断される、高血圧の基準値
・最大血圧が130mmHg以上
・最低血圧が85mmHg以上
上記の一方、もしくは両方を満たした場合
以上4項目の中から、【内臓脂肪型肥満】以外に2項目該当することで、メタボリックシンドロームと診断されます。
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内臓脂肪型肥満による代謝異常が尿酸値上昇のきっかけに?
メタボリックシンドロームの病態は、内臓脂肪型肥満によって様々な代謝異常を引き起こしますが、その原因となるのは脂肪細胞が分泌する「アディポネクチン」という内分泌物質が関係しています。
脂肪細胞とは、脂肪の分解や合成、蓄積を行う細胞なのですが、同細胞の脂肪蓄積量が増えることによって「肥満」になります。
脂肪細胞は様々な働きをする生理活性物質(血圧や血糖値など、体内機能を調節する沸く割を持った物質)を分泌しています。
この生理化成物質が分泌異常、機能異常を起こすと、血圧や血糖値、脂質に影響を与える
というのが「メタボリックシンドローム」の症状となるのですが、最近の研究では、生理活性物質が異常をきたすことで、尿酸値も上昇させることが分ってきました。
脂肪細胞は血圧や血糖値だけでなく、尿酸値にも影響を与える!?
脂肪細胞からは、様々な生理化成物質が分泌されているのですが、特に大きな働きをしている物質の1つが「アディポネクチン」となります。
アディポネクチンの主な役割は、高血圧、糖尿病、動脈硬化の予防となるのですが、脂肪細胞が内臓脂肪を蓄積することにより、アディポネクチンの分泌量が下がってしまいます。
内臓脂肪型肥満になると、高血圧や高血糖、脂質異常症などを合併しやすくなるのは、内臓脂肪の増加により、アディポネクチンの分泌が減ることが原因なのです。
また、アディポネクチンの分泌低下が進んでいる人程、高尿酸血症の頻度が高くなることから、内臓脂肪の増加が尿酸値の上昇にも大きく影響を与えていることが分ってきました。
現状ではまだ、メタボリックシンドロームの診断基準に高尿酸血症は含まれていませんが、尿酸値の上昇もメタボと深い関係があることから、今後はメタボの病態の1つとして数えられる様になっていくでしょう。